トランス脂肪酸にご用心!

トランス脂肪酸

私たちのカラダに無くてはならない三大栄養素「炭水化物・たんぱく質・脂質」

その中の一つ「脂肪」は全く摂らないと健康リスクを高めますし、とりすぎても肥満など生活習慣病のリスクが高まります。そのため、極々自然に食品の中から目安量を摂取するのが望ましいとされています。

今回はそんな脂質の中でも注目したいのが「トランス脂肪酸」といわれるものです。アメリカでこのトランス脂肪酸の食品添加物からの全廃が発表されています。

その「トランス脂肪酸」とは?また、トランス脂肪酸に対する日本の取り組みを見ていきましょう。

トランス脂肪酸、18年に全廃 米当局「安全でない」

【ワシントン共同】米食品医薬品局(FDA)は16日、食用油などに含まれ、肥満や心臓病との関連が指摘されるトランス脂肪酸を、2018年6月までに食品添加物から全廃すると発表した。

FDAは13年に廃止方針を示して科学的妥当性を検討してきたが、最終的に食品に使う上で「安全とは認められない」と結論づけた。

食品業界は3年間で代わりの添加物を使うなどの対応が求められる。FDAは「心臓病を減らし、年間数千件の命に関わるような心臓発作を防ぐことができる」とみている。

トランス脂肪酸は、摂取すると動脈硬化などを引き起こすリスクが増すとの研究結果が多く示されている。

引用:47NEWS

トランス脂肪酸とは?

トランス脂肪酸には、天然に食品中に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがあります。

■天然にできるもの

天然の不飽和脂肪酸はふつうシス型で存在します。しかし、牛や羊などの反芻(はんすう)動物では、胃の中の微生物の働きによって、トランス脂肪酸が作られます。そのため、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品(バター)の中に天然に微量のトランス脂肪酸が含まれています。

■油脂の加工・精製でできるもの

常温で液体の植物油や魚油のから半固体又は固体の油脂を製造する加工技術の一つである「水素添加」によってトランス脂肪酸が生成する場合があります。
水素添加によって製造されるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などにトランス脂肪酸が含まれています。
また、植物から油を絞る際には、精製する工程で好ましくない臭いを取り除くために高温で処理を行います。この際に、植物に含まれているシス型の不飽和脂肪酸からトランス脂肪酸ができるため、サラダ油などの精製した植物油にも微量のトランス脂肪酸が含まれています。

参照:農林水産省ホームページ「すぐにわかるトランス脂肪酸」

大きく分けるとシス型とトランス型の脂肪酸があるのですが、トランス脂肪酸と分類されているものの中には、皆さんがよくしっているDHA(ドコサヘキサエン酸)も型としてはトランス脂肪酸に分類されます。

DHAは健康にいいというのはテレビでも盛んに言われていましたしサプリも登場していました。DHAは血液サラサラ、中性脂肪も低下といったような作用があるといわれています。このDHAは魚に多く含まれているので魚を食べる日本人には良いものでしょう。

ただ、近年は食の欧米化といわれるように、食生活は大きく変化しています。そして、天然由来の物は心配する必要は無いでしょうが、油脂の加工・精製によって作られたトランス脂肪酸に気をつけたほうが良いかもしれません。

トランス脂肪酸の健康への影響

トランス脂肪酸については、食品からとる必要がないと考えられており、むしろ、とりすぎた場合の健康への悪影響が注目されています。

具体的には、トランス脂肪酸をとる量が多いと、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増えて、一方、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が減ることが報告されています。日常的にトランス脂肪酸を多くとりすぎている場合には、少ない場合と比較して心臓病のリスクを高めることが示されています。

トランス脂肪酸による健康への悪影響を示す研究の多くは、トランス脂肪酸をとる量が多い欧米人を対象としたものであり、日本人の場合にも同じ影響があるのかどうかは明らかではありません。

油脂の加工でできるトランス脂肪酸と天然にあるトランス脂肪酸では、健康に及ぼす影響に違いがあるのかどうか、また、たくさんの種類があるトランス脂肪酸の中でどのトランス脂肪酸が健康に悪影響を及ぼすのかについては、十分な証拠がありません。

参照:農林水産省ホームページ「すぐにわかるトランス脂肪酸」

農林水産省のホームページでは、欧米人を対象としてとありますが、先ほども述べたように日本の食事は欧米化しているといわれています。その上で、本当に欧米人対象で、日本人も影響があるか定かではないといわれた場合、直ちに影響が無いとはいえ、心配になってくる部分ではあると思います。

日本でのトランス脂肪酸への取り組み

確かにアメリカなど肥満大国といわれている国ですから、トランス脂肪酸の添加物からの全廃に動いても当然ではありますが、同じトランス脂肪酸でもDHAが血液をさらさらにし、中性脂肪を低下させるのに、加工・精製されたトランス脂肪酸を含むほうは、悪玉コレステロールを増やすという報告があります。

この報告を見ただけでも、トランス脂肪酸を警戒するという備えは必要かと思いますし、すでに日本でも加工・精製されたトランス脂肪酸の低減などに取り組んでいる企業もあります。

・セブンイレブン
トランス脂肪酸の低減

・ハウス食品
ハウス食品はトランス脂肪酸の減少に取り組んでいますか

・ミスタードーナツ
安心・安全への取り組み

※トランス脂肪酸の低減等の取り組みをしている企業もまだまだあるかと思いますがここでは数社のみ記載しております。

企業努力の一方で日本国での取り組みはどうでしょうか。

現時点では、日本において食品中のトランス脂肪酸について、表示の義務や含有量に関する基準値はありません。また、トランス脂肪酸だけではなく、不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸、コレステロールなどの他の脂質についても表示の義務や基準値はありません。

厚生労働省が、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的に定めている「日本人の食事摂取基準」では、脂質に関しては、総脂質と飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、コレステロールについて目標量や目安量の基準を定めています。トランス脂肪酸については、「摂取すべき範囲として表すことが困難」として、目標量の基準は定められていません。

内閣府の食品安全委員会は、2012年3月に、食品に含まれるトランス脂肪酸に関する食品健康影響評価(リスク評価)の結果を公表しました。

参照:農林水産省ホームページ「すぐにわかるトランス脂肪酸」

 

では、内閣府食品安全委員会で公表された食品に含まれるトランス脂肪酸」評価書の概要をみていきましょう。

食品に含まれるトランス脂肪酸」評価書の概要(PDF)

この中で、日本人の大多数はWHOの目標値を下回っている為、通常の食生活では健康の影響は小さいと書かれています。

ただ、諸外国での研究結果が平均的な日本人よりトランス脂肪酸を摂取量が多いケースを対象としているため、このような記述になっていると思われます。

また、脂質に偏った食事をしている人は注意しなければなりませんし、脂質は重要な栄養素なのでバランスの良い食事をしましょうとも書かれています。

まとめ

これからも食品事業者のトランス脂肪酸低減などの取り組みに期待すると同時に、私たちも普段の食事からトランス脂肪酸の摂り過ぎを気をつけることが大切です。

日本の場合、塩分の取りすぎなど脂質以外の部分での生活習慣病の懸念もあります。食事では栄養の偏りや摂りすぎに注意し、バランスの良い食事を心掛けることが基本であり大事なのです。

天然物にはトランス脂肪酸は少しはありますしそれらは、DHAを含めて全てが悪いわけではありませんが、加工・精製されたトランス脂肪酸等は買い物の際に気をつけて避けることくらいは消費者の私たちのできる行動かもしれません。自分の健康、家族の健康のためにできることを。

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